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でらうみゃあ!がひと目で
わかる名古屋めしマトリクス

公開日:2015/11/19  
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ユネスコ無形文化遺産に登録され、世界が大注目の「和食」。日本全国、地域に根ざしたさまざまな和食文化が発展していますが、中でも際立つ存在なのが「名古屋めし」です。「とんかつに味噌」「うなぎにだし汁」などのオリジナルすぎる料理は、種類の豊富さでも他を圧倒しています。そんな名古屋めしの味の濃さと歴史をインフォグラフィックにしてみました!

※今回の記事では、書籍「名古屋めし」(リベラル社)の著者で、Webサイト「All About」の名古屋ガイドを務められている大竹敏之さんにアドバイザーをお願いいたしました。
※「味の濃さ」については、当編集部周辺の名古屋人の皆さまへのヒアリングと、アドバイザーの大竹敏之さんのご意見をもとに決定いたしました。
※記事中のリンクテキストは、大竹敏之さんの執筆されたより詳しい記事へリンクします。
味噌煮込みうどん
味噌煮込みうどん

名古屋めしの定番、豆味噌料理の代表格と言えば、味噌煮込みうどん。グツグツ煮立った土鍋のふたを開ければ、カツオやシイタケのダシがきいた豆味噌つゆのいい香り。そして、これほど煮込まれても「アルデンテ?」と思えるほどに固い麺が、絶妙なおいしさを醸し出します。ルーツは諸説あり、江戸時代初頭に生まれたという説も。代表的な味噌煮込みうどん専門店「山本屋総本家」「山本屋本店」のほか、名古屋市内各地においしい店があり、年中アツアツが楽しめます。

きしめん
きしめん

たまり醤油にみりんを加えた甘辛のつゆでいただく、きしめん。麺の平たさが特徴で、乾麺の規格では幅4.5ミリ以上、厚さ2.0ミリ未満と決められています。その起源は定かではありませんが、江戸時代初頭、名古屋城築城に集まった人々のお腹を満たすため、ゆで時間の短い平らな麺が作られたという説も。人気店はいくつもありますが、異色なのがJR名古屋駅・新幹線ホームの「住よし」。立ち食いの店ですが、そのきしめんを求めて途中下車する人もいるとか。

どて煮
どて煮

牛モツなどを豆味噌やみりんでじっくり煮込んだ、どて煮。モツ肉と豆味噌のうま味が甘辛くからみあい、名古屋めしの中でも最強の濃厚さ。これさえあれば、お酒やご飯がいくらでもすすみます。始まりは明治初頭で、肉食が普及してから庶民にも広がったのだとか。老舗の立ち飲み屋「どての品川」「のんき屋」など、名古屋の居酒屋に行ったなら、必ずどて煮はお試しあれ。

名古屋コーチン
名古屋コーチン

地鶏の中でも全国に名を馳せる、名古屋コーチン。身は引き締まって歯ごたえがあり、素材そのものの深いコクやうま味が魅力です。誕生は明治初期、元尾張藩の武士が開発しました。焼鳥、親子丼、タタキなどさまざまな料理が楽しめますが、素材の滋味を堪能するなら、おすすめはコーチン鍋。有名なコーチン専門店の「鳥銀本店」や「鶏三和菊井町本店」のほか、八丁味噌仕立てのコーチン鍋が味わえる隠れ家的名店「楽」でも、ぜひ!

ひつまぶし
ひつまぶし

名古屋めしの中でも頂点に君臨する、ひつまぶし。関西風に焼き上げたうなぎの蒲焼きを細かく刻み、おひつごはんの上に敷き詰めたもので、発祥は明治の初め頃とされています。コクのあるタレとうなぎの香ばしさに加えて、ひつまぶしは食べ方も魅力。1杯目はそのままで、2杯目はネギやワサビ、ノリなど薬味を添えて、3杯目はだし汁をかけて茶漬けにと、3通りのおいしさが楽しめます。明治6年創業の「あつた蓬莱軒」をはじめ、各店自慢の味を堪能してみては。

小倉トースト
小倉トースト

名古屋の喫茶メニューとして、老若男女に愛されている小倉トースト。バターを塗ったトーストの上には小倉あんがたっぷり。甘じょっぱさが後をひきます。その歴史は意外に古く、大正10年頃、ぜんざいにトーストをひたして食べる男子学生の姿を見て、喫茶店のママが考案したのだとか。店によって小倉あんをサンドしたり、別に添えたりと流派はさまざま。小倉トーストは、名古屋を代表する喫茶店チェーン「コメダコーヒー」でも食べられます。

味噌おでん
味噌おでん

名古屋の店で食べるおでんと言えば、初めて見た人は思わず手を引っこめるほど、真っ黒けの味噌おでん。豆味噌仕立てのだしで煮込まれた大根や玉子は、甘味や旨みにあふれ、見た目よりあっさりした味。生まれたのは戦後とされ、昆布だしで温めた具に甘味噌をかける上方風と、かつおだしにしょうゆや砂糖、みりんを入れた汁で具を煮込む江戸風がミックスされ、独自の発展を遂げたようです。味噌おでんの名店「島正」では、手間ひまかけた逸品が堪能できます。

味噌カツ
味噌カツ

トンカツに甘い味噌ダレをかけた味噌カツも、名古屋人の大好きな日常グルメ。誕生は終戦後間もなくの頃。どて煮の味噌に串かつを浸して食べたのが始まりとされ、意外なものを組み合わせてみる名古屋人の気質が発揮された名物です。味噌ダレは濃厚タイプやサラサラタイプなど店によって違い、自分好みの味を見つけるのも楽しいところ。有名な「矢場とん」などの専門店のほか、トンカツを出す洋食店、和食店、喫茶店の多くで味噌カツが楽しめます。

天むす
天むす

天むすは、エビ天を具にした小ぶりのおむすびで、テイクアウト系の名古屋めし。エビの食感、ご飯の塩かげん、付け合わせのきゃらぶきが見事なハーモニーを生み、昼食やおやつ、差し入れとしても人気です。もとは三重県津市の天ぷら店の賄い。昭和30年代初め、忙しくて昼食を作るひまがなかった女将が、夫のために車エビの天ぷらを切っておむすびに入れたのが始まりとか。その元祖「天むす千寿」の天むすはJR名古屋駅構内でも購入できます。

あんかけスパ
あんかけスパ

炒めた極太スパゲティに、とろりとしたあん状のソースをかけた、あんかけスパ。肉や野菜を煮込み胡椒をきかせたソースは、実にスパイシーでやみつきになります。ベーシックなメニューは、肉系の「ミラネーゼ」、野菜系の「カントリー」、その両方をミックスした「ミラカン」。お好みでトッピングも楽しめます。考案したのは「スパゲティハウスヨコイ」の初代で、昭和30年代のこと。今や名古屋市内各所に多くのあんかけスパ専門店が軒を連ね、各店こだわりの味が満喫できます。

鉄板イタリアン
鉄板イタリアン

あんかけスパと並び立つ名古屋独特のスパゲティと言えば、鉄板イタリアン。熱々の鉄板皿にケチャップ味のスパゲティが盛られ、麺をぐるりと囲むようにジュージューと音を立てる溶き卵が。具には赤いウインナーやグリーンピースがのっていて、懐かしい味わいが愛されています。誕生は昭和36年、「喫茶ユキ」の店主が旅行中のイタリアで発案。そこから他の店にも広がり、鉄板イタリアンは名古屋の喫茶店の定番メニューとなっています。

手羽先
手羽先

甘辛くピリッとスパイシーな味に、たまらず手がのびる名古屋の居酒屋の鉄板メニュー、手羽先。誕生は昭和30年頃。鶏料理専門店の主人が鶏もも肉の代用として、からっと揚げた手羽先に味付けをしたところ大評判に。生みの親である甘辛ダレが人気の「風来坊」や、元祖を参考にしつつ独自のスパイシー路線を行く「世界の山ちゃん」は、今や国内ばかりか海外にも出店する勢いです。テイクアウトもでき、いつでもどこでも名古屋の手羽先が楽しめます。

台湾ラーメン
台湾ラーメン

名古屋生まれの台湾ラーメンは、「辛い!けど旨い」のループから逃れられない逸品。鶏ガラや醤油ベースのスープに、にんにくや唐辛子で炒めた挽き肉やニラなどの具がのっています。元祖は「味仙」。昭和40年代、台湾人の店主が台湾料理の「台仔(たんつー)麺」を激辛にアレンジし、まかないで出したのが始まりです。想像以上に辛いので、初心者や辛い物が苦手な人は、味仙に行ったら「台湾ラーメン アメリカン」と注文するのがいいかも。辛さを控えめにしてくれます。

カレーうどん
カレーうどん

カレーうどんなら名古屋じゃなくても…と思うなかれ。和風だしにカレー粉を加えた一般的なカレーうどんと違い、名古屋のカレーうどんは、ぼってりととろみのあるカレールーに極太麺を組み合わせたもの。濃厚でクリーミーな味が真骨頂です。発祥は昭和50年代で、専門店のカレーを参考に一軒のうどん店が考案。これが人気を博し、今ではカレーうどんを看板メニューにするお店が増えました。元祖店の味を継ぐ「若旦那21」ほか、各店それぞれの味を比べてみては?

名古屋めしの旨みを堪能しよう!

名古屋めしのすごいところは、独創性あふれる料理の数々を地元の人たちが日常的に食べている点にあります。また、東海地方だけでしか作られておらず、名古屋めしの多くに使われている豆味噌やたまり醤油は、実は旨みの宝庫。和食を代表する味「旨み」を、最もバラエティ豊かに独自の方法で表現しているのが名古屋めし、と言えるかもしれません。名古屋に来たら、地元のおいしいお店で、ぜひ名古屋めしを食べてみてください!


・「きしめん」「味噌煮込みうどん」の発祥には諸説ありますが、ここでは江戸時代に発祥した説を採用しています。 
・「名古屋コーチン鍋」の年号は「名古屋コーチン」が誕生した年号です。

参考資料

「名古屋めし」大竹敏之(リベラル社)
「名古屋の喫茶店」大竹敏之(リベラル社)
でらシャス!名古屋めし王国
・新日本風土記「名古屋めし」NHK BSプレミアム
紀文アカデミー「おでんの歴史とこれから」 等

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記事制作

jp infographics
JP INFOGRAPHICS 編集部
JP INFOGRAPHICS 編集部です。知ってるようで知らない日本文化をインフォグラフィックにして発信しています。

スペシャルアドバイザー

大竹敏之さん
名古屋在住のフリーライター。雑誌、新聞、Webなどに名古屋および東海の情報を発信。甘いものも辛いものも菓子も酒もおいしいものならジャンル問わず“いける口”。著書に『名古屋めし』 『続・名古屋の喫茶店』 『名古屋の居酒屋』 『名古屋メン』 『まんぷく名古屋』 『コンクリート魂 浅野祥雲大全』 共著に『東海の和菓子名店』などがある。