手裏剣の多彩なデザイン
手裏剣は、主に戦国時代から江戸時代にかけて使われた、日本の伝統的な武器のひとつです。忍者の道具として知られていますが、武士の間では武道として手裏剣術が発達し、さまざまな流派に受け継がれてきました。
手裏剣は、敵の動きを止めたり、けがを負わせたり、注意をそらして逃げる時間を稼いだりと、主に護身や攪乱の目的として使われました。中には刃に毒を塗り殺傷力を高めたものもあり、隠密の任務が多かった忍者には、要人暗殺の武器としても広く用いられていました。
手裏剣にはさまざまな形があり、まさに「忍びの知恵」が凝縮されています。
ここでは、代表的な9種類の手裏剣を紹介します。

3本の刃が均等に配置された、シンプルな三角形の手裏剣です。打ちやすく、飛び方も安定しており、初心者にも扱いやすい形です。

ひし形状の手裏剣で四方手裏剣の一つ。その形から糸巻とも呼ばれます。他の手裏剣より重いため、一撃必殺の威力のある攻撃が可能です。

最もよく知られている形のひとつで、4本の刃が十字型に配置されています。より衝撃力を高めた、ひし形のタイプもあります。

文字通り「十」の字のような形をした手裏剣です。刃を針のようにとがらせたものや、刃先を矢印形にしたものもあり、忍者それぞれが使いやすい形状に工夫したものと思われます。

敵を傷つけることを目的に、6本の刃を配置しています。刃がらせん状の手裏剣は、どちらの回転で投げても、「切る」「刺す」ことができます。

8本の刃が中心かから放射状に広がる、星のような形をしています。刃が多いため、標的へへの命中率が高いのが特長です。そのため毒剣として多用されました。

仏教では幸福の象徴とされる「卍(まんじ)」の形を模したユニークな手裏剣です。敵に傷を負わせることを目的としており、刺さると鋭く肉をえぐる形状となっています。

10本の刃を持つ大型の手裏剣です。刃が多いことで命中する確率も高まり、複数の方向に攻撃できる特徴があります。その分、攻撃力は低くなります。

棒の先端を尖らせた手裏剣で、形は単純ですが、打つには高い技術が必要とされます。反面、技を身につければ命中精度に優れ、敵に大きな痛手を与えられるのが特徴です。
参考資料
・「決定版 図説・忍者と忍術」(学研)他
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